これを読んでいる方の労働組合の活動のイメージはどのようなものでしょうか?もしかしたらそもそもイメージがないというのが一番多い反応かもしれません。
私たちのウェブサイトに限らず、労働組合の広報に掲載されている写真は、メーデーや抗議行動など、「派手な活動」をしている場面が多いように思われます。少なくとも私たちのような全国一般や合同労組は、多くの労働争議(後述)を抱えていることから、会社の前で抗議行動をしている場面などがよく取り上げられます。
しかし、実は労働組合の活動の大部分は、非常に地味なものです。
というのは、職場の問題を話しあい、どのような要求を取り上げるかを考える会議や、会社との団体交渉、労働相談などは、写真として掲載されることの少ない活動です。こうした活動が実は労働組合の活動の大部分を占めています。
しかし、地味だからといって、意義のない活動とは言えないはずです。むしろ、労働組合が自主的な組織である以上、いかにこの地味な「話し合い」をしているかこそが、まっとうな労働組合かどうかを判断する基準のひとつではないでしょうか。私たち労働組合が自主的な組織であることを担保する要素こそ、労働者同士の話し合いに他なりません。
話し合いは労働者同士だけではありません。私たち労働組合特有の、かつ最も中心的な機能は、団体交渉です。
(1)団体交渉権
団体交渉とは、簡単に言えば労働組合と会社との話し合い(交渉)です。「団体」と言っていますが、重要なのは、その交渉が集団的なものであることです。つまり、個々の労働者や組合員の権利ではなく、団結した労働者の集団、すなわち労働組合の権利が会社(使用者)と交渉する権利が団体交渉権です。
会社側は、正当な理由なく団体交渉を拒否することはできません。これを「団交応諾義務」といいます。また、単に団体交渉に出席するだけではなく、誠実に交渉に臨み、回答を行わなければなければなりません。これを「誠実交渉義務」といいます。
なお、会社がこれらの義務に違反する行為や不作為を「不当労働行為」といいます。不当労働行為を受けた場合は、労働委員会に申し立てることで救済を求めることができます。団交拒否や不誠実団交以外にも、組合員であることを理由に不利益取り扱いをすることや、組合からの脱退を強制・促すことなども不当労働行為に含まれます。労働組合法第七条は、不当労働行為の4つパターンを列挙していますので、ぜひご一読ください。
団体交渉のゴールは、「労働協約」です。労働協約とは、会社と労働組合の取り決めのことです。そして、労働協約は、会社のルールであるところの就業規則や、雇用契約書よりも優先されます。例えば、労働協約書で「〇〇手当は月額30,000円とする」という内容で締結すれば、就業規則や雇用契約書に「〇〇手当は月額20,000円とする」と記載があっても、会社は、〇〇手当を月額30,000円で払わなければなります。
(2)団体行動権
団体行動権は「争議権」とも呼ばれることがあります。
さきほど団体交渉権を説明しましたが、交渉したからといって、会社が要求を認めることまでは保障されていません。そのため、労働組合の要求を受け入れるよう会社に促すために保障された権利が団体行動権です。
団体行動権のもっとも中核的な権利として、「ストライキ権」が挙げられます。ストライキとは、「同盟罷業」とも呼ばれ、労働者が集団的に労務提供をストップさせる行為を指します。通常、仕事をサボったり行かなかったりしたら、会社から注意を受け、あるいは懲戒を受ける、損害賠償をされるといった危険があります。しかし、正当なストライキによるものであれば、そういったリスクや賠償責任を免れます。これを「民事免責」といいます。また、一定の要求を会社にのむように圧力をかける行為として「脅迫」の刑事上のリスクもありますが、これも正当なストライキであれば免責されます。
ストライキは労働者1人では実行できず、必ず労働組合として行わなければ正当なものとして扱われません。逆に、ストライキ権をもたない交渉は、ただの「お願い」あるいは「陳情」に過ぎません。そのため、ストライキは、私たち労働組合が労働組合として存在し活動するための、もっとも中核的な権利のひとつなのです。
また、団体行動権はストライキに限られません。会社に対する抗議行動、デモなども団体行動権のひとつです。
以上のことをまとめると、労働組合ができることのもっとも基本的な行為は、「団体交渉と団体行動」と集約できると思います。